
ピッチ調整とは何か??
ボーカルの音程の調整というのが一般的かと思います。
1997年に、Antaresという会社が、Auto-Tune(オートチューン)というプラグインを発表して、
何度もボーカルを録り直すという選択肢しかなかったピッチ調整作業は、
後で直すという選択肢が増えて、このAuto-Tuneは、レコーディングスタジオにどんどん導入され
とてもセンセーショナルで、驚きの機能は目を見張るものがありました。
1990年代、PCによるレコーディングというものが登場し、その元祖がPro ToolsというDAWソフト。
DAW(ダウと呼ぶ人が増えてきました。)というのはデジタルオーディオワークステーションの略。
PCによるレコーディングが始まって、スタジオにはPro Toolsが導入され、必ずAntaresのAuto-Tuneも入っていました。
夢のような編集作業を間近で見ながら、未来予想は、こういうことが当たり前になるんだろうな、と感じていました。
そして、今の時代はどうなっているか?
もうピッチ調整は当たり前の世界になりました。
リリースされる音源のほとんどが、ピッチ調整をされて出てくるようになりました。
業界標準、という言葉がありますが、これは、業界の中で一番使われているものが業界標準と言われるだけであって、
別にこれを使いなさいというわけではないんですね。
今や、この業界標準。
2022年現在で一番使われているDAWは、Steinberg(スタインバーグ)というドイツの会社のcubase(キューベース)。
Pro Toolsをはるかに抜いて、日本では第一位。
ピッチ調整のプラグインもAuto-Tuneをはるかに抜いて、celemony社のMelodyne(メロダイン)が一位。
今や、業界標準は、DAWはcubaseであり、ピッチ調整は、Melodyneというわけです。
その使い方とかではなく、この記事では、果たして、ピッチ調整というのは、するべきか、せざるべきかという話なんです。
今や、前述のとおり、ピッチ調整はほとんどの音源でなされた上で出てくるという事実があります。
どんなに歌の上手い人でもピッチ調整をされて出てくるので、聴いた感じは、音程のずれというものが無いのが普通となっています。
趣味の世界では表現として、いわゆる人間味みたいなものを残すという意図のもとで、
あえてピッチ調整をせずに出すものもあるかもしれませんが、
どうしても他と比較されやすいのがボーカルですので、ともすれば、ボーカルが上手くないと捉えられる可能性もあり
なかなかリスクもあるように思います。
プロの世界では、もうピッチ調整は当たり前なので、制作の工程の中にこれは当然行われます。
ボーカルというのは、その歌い手のカラーそのものですので、それを直すというのは抵抗がある方もいらっしゃるかも知れませんが
今の時代、これを行うのは、必須で、やるか、やらないか、という選択肢すらありません。
そのくらい、このピッチ調整は一般的で、当然やるべき作業となっています。
これの可非という話をするのは、もはやナンセンスというくらい、普通の作業となっていますので、
他と比較されても大丈夫という内容にするためには、どうしても必要と考えるしかないという時代になっています。
業界標準のMelodyneは、サウンド的にも実に自然で、少し慣れが必要ではありますが、
初めにMelodyneに取り込んでから、ボーカル全体をMelodyneの画面上で修正するような形になります。
実に細かいピッチ調整はもちろん、音の大小の調整、タイミングのズレの調整、伸ばし切れなかった音を伸ばすことも可能です。
さらに、PCの負荷が小さい。
複数のトラックにMelodyneをかけても、問題なく作業を続けることが可能です。
通常は全体にMelodyneをかけてから作業をしてしまうパターンが多いかと思いますが、
そういう際には今では、録音するようにMelodyneに読み込ませる必要すらなくなって、
一度にドンとエフェクトの様に読み込めるような仕様も出て来ています。
さらに音源として、ストリングスの塊の2ミックスの音源をばらして、中のアンサンブルを変更することも出来たりする。
もはや、バーチャルと言われてもしょうがないかも知れませんが、
ボーカルの魂は、Melodyneなどのプラグインではどうにも直すことが出来ません。
小手先で上手く唄おうと唄った歌は、Melodyneなどでどれだけピッチ調整をしても
やはり上手く唄おうと伝わってしまいます。
ある意味、こういうプラグインがあるので、徹底して、魂をのせる歌を唄えるようになったのではないでしょうか?
さらに歌を表現する環境は、これからも良くなってくるのではと期待しています。