僕は、20年間にわたり、アーティスト活動を行っていまして、当ブログではその中で培った来たことを公開しています。今回は、僕の音楽活動の中でも大きなウェイトを占めている音源制作のメイン。レコーディング。
録音する、という事情はこの20年間で大きく変わりました。
2002年のあたりでキングレコードのスタジオでレコーディングをした際は、何と、まだアナログレコーディングでした。当時のレコーディングは、スタジオに行かないとレコーディングできないという種類のものだったと思います。
というのは、プロのレコーディング技術が再現できる民生機器が無かったということもあり、プロの手を借りないとプロのレコーディングは出来ない状況でした。
ところが今や、どこに行ってもデジタルレコーディングとなっているかと思います。
このデジタルレコーディングというのが、この録音という世界に革命的なことを起こすことになりました。今まで何百万円という機材がソフト化されて3万円くらいで販売されるようになり、さらに一般のアマチュアミュージシャンが手が届くほどのお値段でそれら一式を手に入れることが出来るようになったのです。
DTMソフトとして業界標準となっているprotoolsや、cubase、sonar、logicなどがどんどん現れ、プラグイン(エフェクト)関係も安価でどんどん発売され、たとえば、アナログの時代は実機で何百万円ものコンプのハード機器のFairchild 660は、アビーロードスタジオにもあり、ビートルズもレコーディングに使用したという機器ですが、これが、PuigChild Compressorとして、何と、1万円以下で販売されていたりする。
Fairchild 670復刻版でも150万円
Fairchild 670がソフト化されたPuigChild Compressor670 何と定価で42000円。特売があると、7296円だったりするという、このハード機器との価格差。
さらに、この貴重な機器であってもPC内で簡単に使える様な使用方法も公開されている上に、欲しければ安価でアマチュア製作者でも手に入れることが出来るようになったというわけです。
他のプラグインも同様で、有名ハード機器がソフト化されて、とんでもない機器を簡単に手に入れることが出来るようになったのです。時代は変わりました。
今や、PCと、DTMソフト、プラグイン、ハード機器としてオーディオインターフェース、モニタースピーカー、コンデンサーマイク、ヘッドフォンがあれば、自分の演奏をレコーディングできるということになりました。
昔のPCは、ファンの音が大きく、ブースを分けないとPCのファンの音が入ってしまう状況がありましたが、今のCOREi7のCPUはファンの音も静かで同じ部屋内にあっても問題ないほどの状況になってきました。
レコーディングの技術というのも、確かに様々な経験も必要ですし、マイクの種類なども選びたいところもありますが、それでも過去のスタジオを使わないとレコーディング出来なかったという時代と比べるととんでもない安価で、そのシステムを手に入れることができます。
各機器のおすすめ機材はまた、別のブログで書くということにして、カンタンに言うなら、レコーディングも自分で出来るということなんです。
まず、会場選び。
基本的には無音の場所があれば最高ですが、なかなかそういう場所もありません。
田舎に行くと、静かで車も通らないという場所があったりしますし、反響音のあまり無いという場所。カーテンとかがあると音を吸収してくれます。
反響音に悩まされる場合、リフレクションフィルターを使うと、一定の反響音で統一することができます。アルバム制作などで、会場があちこちと変わる場合、安定した収録音を得るために、これを使うと、どこに行っても同じ反響音で統一できるというわけです。

大事なのがマイクの選択。これが、僕もPCで編集作業をするので、マイクは何でも大丈夫じゃないか?と思っていましたが、これが、マイクの特性を後で編集で直すのは非常に難しいということがあります。まずはコンデンサーマイクは何でもいいので、一度録音して、また別のマイクを手に入れた際、録ってみるとまた違う音が録れますので、是非経験を積んでください。
DTMソフトでクリックも出すことが出来ますし、生でアコギを収録、ボーカルを録ってみてください。
ボーカルの場合、プラグイン無くして表現できないというのもよく分かると思います。特に、コンプレッサーの種類や、リバーブの種類などがとても重要になるのです。
また、揃える機材は、ある程度揃ってくると、あとは、この曲の仕上げをどうするのか、ということの引き出しが必要になるというわけです。
既存のいろんな曲を聴いて、これは、どう処理されているのか、ディレイなのか、コーラス、フランジャーなのか、コンプの処理はどんな風にかけてあるのか
リードの管楽器は、コンプをかけてこんなサウンド感に仕上がっているのか、などと、処理方法が分かってくると、自分の作品の中に様々な処理を加えることができます。
夢の機材が、今やPCのプラグインとして復活していて、さらにすぐに手に入るというのも、昔の高嶺の花と思っていた時代とはもう違います。
あなたの目の前で、あなたの意志でその機材を操作して音を作ることが出来る時代になりました。
これからのレコーディングは、あなたの部屋で、また、あなたの選んだ録音会場で行うことが出来、
マイクの位置や、種類によって、ここまで出来上がる音が違うのか、と何度もやってみると、自然な音の収録は、基本的に自然な立ち位置にマイクがあるのがベストというのも分かってきます。
ボーカルは、男女で違いますが、だいたい125Hzのあたりがモコモコする音であることもあり、そこを少し下げるとすっきりしますし
高域を上げると透明感が出ますが、上げすぎると、キンキンした感じになってしまうので、そのあたりをどうするか。
あとは、自分で考えながら修正してみる、というのも楽しいと思います。
よく、このレコーディング現場で聴く音と、CDにしてみたら、CDプレイヤーによって全然違う印象の音になってしまった、別のステレオで聴いたら、低域が強すぎた、
なぜか、他の再生機器で聴いたら、キンキンしていて、作ったはずの音と全然違う、という結果になったということは、僕も過去にかなり悩まされました。
その理由は、モニタースピーカーに問題があります。
フラットではない特性のモニタースピーカーで音を合わせると、この様な作ったはずの音と違うという結果になってしまいます。
僕が作業部屋で使っているモニターは、YAMAHAのNS-10M PROという機種で、BOSEの4702-IIIという古いプリメインアンプで鳴らしています。

このモニターはフラットで、大抵のスタジオにあって、いわゆるテンモニという名前でモニタースピーカーの代表選手となっています。
それだけあって、このスピーカーで合わせると、どのプレイヤーで再生してもほぼイメージ通りのサウンド感での音として仕上げることができます。
あとは、ヘッドフォンだけで音を作ると、奥行きがあまり分かりません。いざ、スピーカーでヘッドフォンでいいと思った音を聴くと、意外にも楽器のバランスがヘッドフォンで聴いたそれとは全く違う位置関係で聴こえてきます。これには驚きますがどちらが正しいかというと、実はスピーカーが正しいバランスなのです。
最終的にはスピーカーで聴かないといけないということですが、ヘッドフォンで聴くのはバランスではなく、ノイズが載っていないか、などを聴く場合には適していますので、ヘッドフォンでのチェックも必要不可欠です。
ということで、モニタースピーカーに注意して必要なものさえそろえば、あとは、いざ現場。
コンデンサーマイクは、時計の秒を刻む音も拾ってしまいますので、注意が必要。
あとは録ってみる。
マイクの種類、コンデンサー、ダイナミックなど試してみる
既存の曲はどのような処理をされているのか、想像して、それと同じ、または近い処理をしてみる。
リバーブの種類は、多数あり、広がり感が全然違うので、時と場合により使い分ける。
などなど。
この写真では2016年の頃のレコーディング風景で、会場は公共施設の完全無音室。モニタースピーカーはローランドのCM-30ですが、今は、現場では、YAMAHAのNSP-5を使用しています。

僕は、アーティスト活動の中で大きな割合をしめるのが制作活動なので、1人で出来るという時代になったという実感はすでにありましたが、この活動の中で、レコーディングスタジオを借りて、レコーディングすると、とにかくお金がかかるのです。持続可能な活動をするためには、お金がかかりすぎては長続きすることが難しくなります。
ということから、2001年ころから自分で機材を集めながらレコーディングを見様見真似で行ってきました。
特別な勉強をしたわけではありません。学校にも行っていませんが、それでも、「まずやってみる」というところからスタートしました。
あなたも、まずやってみる、から是非スタートしてみてくださいね。
以上レコーディング論、これからのレコーディングの在り方はこれでいい!!でした。
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