Ovation(オベーション)ギター、昔は憧れの名器だった!?

久々に、この話題に触れることが出来るのは嬉しいですね。

当ブログの一番人気の記事は、実はOvationの記事なのです。

人気No.1
今のOvationと昔のOvationの違い

人気No.2
Ovation Super AdamasとAdamasⅡの違いについて

40歳以上の方々はきっとご存知ですよね。このOvationというギター。

若い方々は、実はあまり知らないという方も多いみたいなんです。これが何とも残念でなりません。

歴史的なことはすでに上記のブログに記してありますので、今回は、サウンド面に特化して書いてみようと思います。

Ovationは、トップが木で出来たギターと、トップがカーボングラファイトのものとがあり、カーボングラファイトのギターがAdamasというわけです。
このAdamasサウンドは、初期のものは特に素晴らしく、1983年までのサウンドは、当然Adamasはギターなのですが、言ってみればギターというよりも、Adamasという楽器のサウンドと言ったほうがいいのでは、と思うほど、普通のギターのサウンド感とは違う、特別なものがありました。
そもそもラウンドバックになっているバックは、弦から伝わる表板の振動からの音がサウンドホールに向けて反射するように、当時では革新的な反射効率を考えられて作られたものでした。

Super Adamasを例にサウンドについてお話したいと思います。
僕の所有しているOvation Super Adamas 1687-7 1980年製のサウンド感をお伝えできればと思います。

Ovation(オベーション)ギター、昔は憧れの名器だった!?_d0063599_23350719.jpg
これが、なんとも響きの表現が難しいのですが、ボーンという低域の丸いサウンド感で、心に響きます。非常によくボディー全体を鳴らして音がサウンドホールから出てくるというイメージです。このAdamasというギター。とても不思議な音の作られ方があり、実によく出来ています。

この初期のAdamasは、実は表の板、カーボングラファイトとカーボングラファイトの間に薄い木を挟んで、繊維の目を縦、横、縦として、ラミネートされた、それこそ、先日ブログでも紹介したFG-180と同じ、鳴るように作るために薄くて、強度があるという表板になっているのですが、この特殊なカーボングラファイトは、元はヘリコプターの羽根として作られたのですが、振動が多すぎて使いものにならなかったので、社長のチャールズカーマン氏がカントリーのギタリストであったことから、楽器にならないか?と思ったところがこのギターの制作の始まり。
このカーボングラファイトが、非常に心地良い響きを出しているんですよね。

実はこのAdamasサウンドは、普通はサウンドホールから音が飛び出してくるだけだと思うのですが、特筆すべきは、サウンドホールからのラウンドバックから反射して出てきた音以外に、このカーボングラファイトの表板そのものが振動して、空気を動かし、前に音が飛んできていることにある時気づきました。表の板を押さえながら弾いてみた音と、押さえずに弾いた音が全然ちがうのです。ギターっていうのは木で出来ているのが普通ですので、木はここまでは振動しているわけではありませんので、これは、まさに、この年代のAdamasしか出せない音の鳴り方と言ってもいいのではないかと思います。とにかくビックリするくらいの表板の振動がこのサウンドを作っているということになります。

Ovation(オベーション)ギター、昔は憧れの名器だった!?_d0063599_01395824.jpg
トップが木のOvationもあるんですが、楽器としては、Adamasとは別の楽器と思った方が良いくらいサウンド感が違います。

やはり、振動の作られ方があまりにも違うというところだと思います。それと、バックがカーボングラファイト、トップが木ということは、バックは動かないが、トップの木は動くので、どうしてもトップに割れが出たり、よく問題が起こってしまうという難点があるんですね。これは、どうしても致し方ないですね。

僕も、Ovationのグレンキャンベルモデルを持っていましたが、Adamasとは全く違うサウンド感。どうしてもサウンドの不安定感もあったりして、結局売ってしまったということがありました。
Ovation(オベーション)ギター、昔は憧れの名器だった!?_d0063599_02060261.jpg
Ovationの醍醐味が味わえるのは、やっぱり初期のSuperAdmasだと思います。


ということで、この初期のAdamasは、今のギターの鳴り方とは全く違う特性で鳴るということもあり、この時代のこのギターしか出せない音があるんです。

今の最近作られたAdamasは、形はよく似ていいますが、そこまで振動しませんので、どうしてもサウンド感が違う。いわゆる、鳴らないという風に言われるというわけです。


ということで、1970年代後半から、1980年代初頭のSuper Adamasは、あのタイトで非常に良い響きは気のせいではなく、この時代のこの楽器しか出せない音であり、値段も100万円を超えているということもあり、当時の憧れの名器でしたが、間違いなく、今でも、この時代のSuper Adamasの音しか出せない音を実感するとき、実に貴重な、この楽器しか無い音というのがここにあるというのをよく思います。

Ovationの評価は今は低いというのも聴いたことがありますが、昔ではありますが、この時代のSuper Adamasを弾いてみて欲しいと思います。この素晴らしいサウンド感は、次世代にも伝えていかないといけないと思っています。



以上 Ovation(オベーション)ギター、昔は憧れの名器だった!でした。



ご要望や質問、ご希望などはメールにて受け付けています。

info@artwinglabel.com

こちらまでお寄せください。






by artwing | 2019-05-24 02:22 | 40歳以上の音楽スタイル

雅音人の辻が語る、40代以上の方々に送る、質感にこだわる人生のススメ


by artwing