今回は、ギターの話題を。
YAMAHAが作った1966年から1972年まで作られた、量産された国産アコースティックギターの第1号。
YAMAHA FG-180のお話です。

このブログを書くにあたって、愛知県江南市の、スタジオMさんにおじゃまして、いろいろお話を伺いました。
驚くべき、FG-180の秘密をここで公開。
FG-180というのは、オール合板のギターです。
トップ スプルース合板
サイド&バック マホガニー合板
ネック マホガニー
指板 ローズウッド
オール合板??⇒安いもの=品質が悪い、という連想をされるのですが、時代がちがいます。なんと言っても1966年から1972年まで作られたギターの話ですので、今の合板のイメージとは全く違うのです。
では、このギターで考えられている合板の理由は
単板だと、薄く作ると割れやすい、厚く作ると鳴るまでに時間がかかる。その対策として、薄く作りながらも(鳴りやすく)、強度もある方法は何か?
という問いの答えとして、当時のYAMAHAはこのギターを開発。薄くて、鳴りやすくて、強度もあるというのを実現させるための、オール合板なのです。
今の合板は、表と裏は、スプルースかもしれませんが、単にコストを抑えるためにその中に入っている材料があまりにもギターに使うには良くないものが挟んであり、到底鳴るものにはならない、というものですが、
この国産初のFG-180は、トップはスプルースの縦目、スプルースの横目、スプルースの縦目、という3枚の板をラミネートして作られています。
こうすることによって、同じスプルースという共鳴の特性の同じ材料を縦、横、縦と3枚を貼り合わせることにより、まるで1枚の板の様な鳴り方をする上に、目を縦横と変えることにより、薄くても割れない強度が生まれる、という、非常によく考えられた、強度が強く、薄くて、鳴りやすい合板が出来上がったというわけです。
まさに、今から45年以上も前のギターが今でも問題なく使えるというトップになっているというのがその証拠と言えるかもしれません。
当時は、機械化もすすんでおらず、手作りという作り方をしていましたので、どうしても個体差というのも発生しているのも事実。同じ品番でも、時代、というよりは、個体差的に差が出るということがあったかと思いますが、それでもクオリティーとしては、かなり素晴らしく出来上がった作品だと思います。
このスタジオMさんでは、当時のFG-180を自社工房にて、現在でも問題なく弾けるような調整をしてから販売しているので、当時のサウンド感をしっかり感じることができました。
以前のブログでも書いたかと思いますが、このFG-180に使われている合板は、後のギターにも多大な影響を与えていると思います。
1978年ころからのOvationのスーパーアダマス。当時108万円というとんでもない高価な楽器ですが、このトップは、大変薄いカーボングラファイトとカーボングラファイトの間に目を横にした木が挟まれてラミネートされたトップになっていますが、この1966年から開発された、このYAMAHAのFG-180、FG-150のトップが参考に作られたのではないかと想像できます。


初期のFG-180はライトグリーンラベルなのですが、なかなか市場には出てきません。赤ラベルのギターは、このスタジオMさんは現在でも数本在庫としてある状況となっていまして、確かに個体の個性が違う。
ですが、今の時代で、36000円ほどのギターを新品で買う、ということを考えるなら、とんでもない音量感と、まじめに作られている個体の丈夫さと、時間が経過しているので、木が動くことがないため、安定して永年さらに弾くことが出来るギターになっているかと思います。
僕が注目したのは、音量と音質、お値段なんです。超アンバランス。
弾いたのは、1971年のFG-180。
音量は、結構な爆音です。FG-150よりも、マホガニーらしい立ち上がりのいい、音がよく飛ぶイメージ。
音質は、低域がドーンと出るのにはビックリです。
これだけのサウンド感なら、今の時代なら、20万円ほどのギターと匹敵してもいいのではと思うようなイメージですが、
何と、36000円、さらに税込みというとんでもない安価となっています。
初心者の方が、新品で3~4万円くらいのギターで、と探すなら、新品ではなく、年代的に木も動きにくいので弦高も安定していますし、良いサウンド感なので、全力でこちらのFG-180をおススメします。
いろいろ話を聴いてみると、初期のプロトタイプで、単板のFG-180もあったらしいですが、それが本物だと、50万円ほどするそうですね。
かなり後に、FG-180がブームになり、The FGというのが登場していますが、こちらは、オール単板です。
ということは、FGですが、単板になってしまっているのが何か不思議と残念感をも感じてしまうという、当時のものは非常に良い合板仕様となっています。
このあり得ない36000円のギター。
つい、連れて帰ってきてしまいました。
日本初の量産ギター、FG-150も同時に発売されたものですが、ボディーサイズが少し小さいこともあり、やはり、当時の最高のスペックを感じることが出来るのは、やはりFG-180かと思います。
年代も経過して50年近くも経っていると確かに、ネックの状況とか、傷だらけとか、いろいろあるかと思いますが、この愛知県の江南市のスタジオMさんでは、すべて弾きやすくリペア、調整がされていますので、安心して当時のサウンドを楽しむことができます。
通販も出来ますが、「個体差があるので、そのクレームは受け付けられない」とのことなので、出来れば、弾くのが一番良いのですが、どれをとっても素晴らしいサウンド感に仕上がったFG-180でしたが、確かに、双子なのに性格の違う子というイメージで、同じ品番なのに音が確かに違う。
このあたりが面白いところかと思います。
是非、古き良き時代のFG-180.弾いてみてくださいね。
以上。YAMAHAの国産ギター第1号FG-180が今でも名器といわれる訳でした。
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