音楽の本来の姿とは??

ふと、そんなコトを考えてしまいましたので、書いてみますね。

音楽にはいろんなジャンルがあって考え方も全く違うのが面白い。

僕らみたいな、弾き語り上がりの人
クラシックをやっている人
ジャズをやっている人
歌謡曲的な歌だけをやっている人

それぞれがそれぞれの全く違うと思えるような感覚がある。

ですがやっぱりみんな音楽。


僕が個人的に思うのは、音楽は、やはり伝わらないといけないものじゃないかな?
聴いている人が何を感じるかがポイントじゃないかな?
技術的に素晴らしいというものでも、伝わってくるものが、「技術的に素晴らしい」だけじゃね、面白くないし。
声がいい、声が悪い、とかいろいろあるかもですが、表現する「心」が伝わる歌ってのは、やはり人の心を動かすし。
「感じて動く」と書く意味はそれってわけで、感動するって大事なことだって思うんですよね。
何故か、感動する歌ってのもあるんですよね。雅音人のTamikoさんの歌ってのはまさにこれかも知れませんね。またこれについては書きますが。

というのが僕の考えですが、
一つこんなエピソードを。


昔、ある音楽プロデューサーの方にお会いしたとき、僕らは駆け出しのミュージシャンで、八ヶ岳のアトリエに行って、いろんな話を聴いたことがある。

レコーディングの時、マイクの前で何を考える??

上手く歌おう、綺麗に歌おう、高い声が出るかどうか?などなどいろいろあると思いますが、レコーディングのマイクの前で、このような感覚で歌うとどうなるか?
やっぱり、レコーディングされた歌から伝わるものは、「上手く歌おう、綺麗に歌おう、高い音が出るかどうか?」と伝わってしまう、という話でした。

その当時、僕らはその話に衝撃を受けて、音楽というのはこの曲の持っている本来の心を理解して表現するのがいかに大事かと思い知らされたことがあった。

さらに、話は続いた。
会津弁のきついおばあさんの語りに感動する、ということから、そのプロデューサーが、その語りを聴いて感動して衝撃を受けて、そのおばあさんを日本中に連れて回って語りを聴かせることをやってみたら、各地で涙を流して聴いてくれた、という話。
会津弁がきつくて、実は、言葉はあまり分からないのだが、何を言っているか、表情や言葉の強弱、語り口で不思議と何となく伝わる。

言葉が分からなくても伝わるなら、海外ではどうだろうか??

何と、海外においても、日本と同じ現象が起こったのでした。


心というのは良かれ悪しかれ、「伝わる」、というのがベースにあるところから表現するってのが大事何ですよね。


この話は昔の話でしたが、

それと共通する話で、最近、東京でいつもお世話になっている音楽プロデューサーから話を聴いた。
この方は、多方面で活躍する方ですが、ある著名な曲のレコーディングをされたのでも有名。

レコーディングの際、「歌詞は、しっかりと頭に入れてきて!」と伝える。それと、「この曲を誰に届けたいか、伝えたいか、を考えて、その人の写真を持ってきて!」というコトを伝えるとのこと。

そして、レコーディング当日。

譜面台には、歌詞カードではなく、その伝えたい人の写真。

そして、周りを真っ暗にして、スポットライトで、その写真だけをライトアップして、レコーディングスタート。

いかに、歌がその人に伝わる、ということが最重要ポイントという思いが分かりますよね。

そうすると、伝えたい思いがこの人に伝わるということは、聴いた人それぞれが、写真の一人一人ということで曲が伝わっていくんですよ。
って話。


歌ってのは、本当に伝わっていく、ということがよく分かりますが、
楽器はどうでしょう?

よーく分かるエピソードは、僕は、ロストロポーヴィチの伝説を思い浮かべる。

彼は、このチェロの世界では誰でも知っているロシアのチェリストですが、社会を変えたと言われているチェリスト。

ソ連だった時代に、社会主義国家というのがおかしいと思いつつも反発出来なかった人々の心をチェロに乗せた。
チェロで、「おかしいだろ??おかしくないか??この社会。」と訴えた。

言葉ではないのです。チェロの音で訴えた。


すると、人々がそれを感じ始めた。
「ロストロポーヴィチのチェロが言っていることは正しい!」と社会運動が起こり始めた。

大きな社会の流れを創りだしたロストロポーヴィチはついにソ連から追放される結果となってしまった。

一言も言葉では発していないのに、チェロで伝えているのが衝撃的でした。


しかし、その後、ゴルバチョフが大統領の時代に、ロストロポーヴィチの活動は認められ、ロシアに英雄として迎え入れられた、という話がありますが、

これは、まさに楽器から、心が伝わるという代表的なエピソード。



音楽の本来の姿とは??

実は結論なんてものはあるのかないのか。
これを読んでいただいたあなた自身が何なのか考えていただくことだと思います。
正解も間違いもありません。

最低の技術は必要です。

ですが、上手い、けど、「俺は上手いぞ!」みたいなことが伝わったところで、音楽としての意味を考えてしまいます。


結論は、


これを読んだプレイヤー、(僕も含めて、)一人ひとりがが考えていただくという、記事でした。
by artwing | 2016-04-12 07:13 | 音楽屋

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