福島の風 By Tamiko

土曜日の朝、急遽10月30日(日)に福島市で開かれる集会に参加することになった。
松本からバスで乗り合わせると聞いて
すぐに問い合わせをした。
ずっと行く機会をうかがっていたから
飛びついたって感じで。

集会は「なくせ!原発 10・30大集会」というもの。
全国から集結して、浪江町、飯舘村の町長さんたちのお話もあるとのことだった。

なにより福島で暮らすみなさんと同じ風に吹かれたいと思った。
自分の地域は放射線の被害をほとんど受けずに済んでいるが
それで自分たちは安心、みたいな他人事意識がどこかにある。

朝6:30に松本を出発。12時ころ会場の「四季の里」に到着。
バスから降りて、会場まで歩いた。
のどかな低い山々の合間にある、芝生の続くきれいな公園だった。
風の匂いも気候も、松本と大きな差はない。
ただ放射線量はブースでの展示場所に0.36マイクロシーベルトと表示されていた。
それだけが違うんだな。。。

県外からも続々と人が集い、中間の発表で1万人以上とのこと。

メインステージでは、ふるさとに帰れない避難者の
辛い現実が、心情が切々と語られた。
除洗を進めて何としても元の生活を取り戻したいと。
そのための補償問題、遅々として進まないらしい。
多くの悲しみ悔しさ、怒り。

浪江町長の馬場さんは
「避難者はもう頑張れないというところまできている。」とはっきりとおっしゃった。
東電の保障の対応も上から目線でどちらが被害者かと言いたい。
と怒り心頭。

「県外へ招かれて保養に連れて行った3歳の子どもが
自由に外で遊ばせようと連れていくと
砂場の前で立ちすくんでいた。
“ママ、このお砂はさわっていいの?”と聞いてくるんです。」
「3歳の子をガン保険に入れました。そうしなければならない現実があります。」
なんとも言えない子どもたちをとりまく環境。

原発がなければ・・・という思いは福島県民共通だろう。
原発に関する本がたくさん売られていた。
これからここに住み続ける人々には
安らぎはない気がした。

「いのちと原発は共存できません。」
パンフレットのアピール文。

現在原発のある地域に住む人々もまた
一抹の不安の中にあることだろう。
それでもそれで経済が成り立っている地域では
原発反対を口にすることがタブーなのかもしれない。

経済というモンスターの前に
人間は自由を失っている。
そんな気がした。

バスに乗って移動の際
地元福島からの参加者が
一生懸命帰ってゆくバスに向かって手を振ってくれた。
来てくれてありがとう、頑張るから応援してほしい!
そんな思いに溢れていて感動した。

福島の風に吹かれたら
私の中で何が変わるだろう?と考えていたが
まだまだ被災者の心情を共有するには程遠かった。
また足を運びたいし、もっと心に寄り添いたい。
ほんの4時間余りの福島滞在。
でもこの事実は私の中に何かを産み落としたと思う。
by artwing | 2011-11-01 05:32

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