雅音人の制作日記

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雅音人の日々の制作風景をつづっていきます。

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今のOvationと昔のOvationの違い!

よく、こんな質問を受けるんですよ。Ovation弾いていると。

僕のは、Ovation Super Adamas 1687-7  1980年製

コンサートでよく使っているので、雅音人ファンの方はみなさんご存知かと思いますが、
これです。

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このギターを、現在のOvationしか弾いたことのない人が弾いてみると相当びっくりします。

生でも低音から高音まで綺麗に響きながらよく鳴るからってことなんですが、
今のOvationは、本当に鳴らないのには残念としか言いようがありません。

僕の持っているのは、Adamasというギターですが、それもSuper Adamasと通称で言われているもので、
AdamasⅡというのもありますが、このSuper Adamasと、AdamasⅡの違いってのはこのブログでも
以前に書いたことがあります。

Super AdamasとAdamasⅡの違い



では、このSuper Adamasで、今と昔と比較すると何が違うかを感じたままに書いてみましょう。

このOvation、
ヘリコプターの羽根を作っていたカーマンコーポレーションという会社で新しく開発した羽根の素材をヘリコプターで使用したところが、振動が多すぎて羽根には使えなかったんですね。
それで、これだけ振動する素材ならギターに応用できないか?と考えたのが社長のチャールズカーマン氏。
彼はカントリーのギタリストだったので、この発想が生まれたんですね。
そこでギターを科学的に分析して、1966年に表が木、裏がカーボングラファイトという素材を使った丸いラウンドバッグのギターが誕生したってのが始まりで、
Super Adamasは、1976年が誕生ということになっています。

この時代、まだ、プロトタイプというのがあって、本格的に出てきたのが1979年あたりじゃないかな。
当時、松山千春、南こうせつが使ってかなり話題になりました。

この当時のAdamasは、本当に素晴らしい。お値段も1008000円とういうとんでもないお値段。


では、この当時のSuper Adamasと今の時代のものと何が違うのか?

どうも、この時代に開発したバックの素材、カーボングラファイトの作り方が大きく変わってしまったみたいですね。
昔は手作りで作っていたバックですが、今では機械で型押し的にガチャンと一発で作っているという感じ?
形は似てるけど、当時とは全く似ても似つかない音になってしまうんですね。

それと、強度の補強面なのか、表の板が1983年から厚みが変わっていて厚くなっているそうです。
初期のトップの板は、カーボングラファイトとカーボングラファイトの間に薄い木を挟んで目を斜めにして強度を出しているのですが、これが非常に薄くて、当時のものは、まるで木の様な音がするんですよ。
これが、すごいですね。
これ、YAMAHAが一番初めにやったFG180とかFG150の応用かと思いますね。
当時のYAMAHAは、日本初のフォークギターを開発していました。
それが、この2機種になりますが、合板なんですよ。
合板といっても安く作るための合板ではありません。厚みを薄くしても強度が保たれるというため、薄くする理由は鳴るためというものでした。
スプルースの厚みの薄いものを木目をずらして貼り付けることで薄さと強度を両立させて鳴りを確保したというものでしたが、これの応用のようにも思えますね。

厚みを厚くするというのは、そこの大事な部分が失われていくという状況。

それと、さらに、ネックの素材も当時のものとは大きく変わってしまって、素材が大きく劣化してしまいました。
振動がネックに伝わらなくなってしまっている感じがありますし、ネックが軽い感じがあります。
これが大きくサウンドに影響しているように思うのです。

ピックアップも大きく変わりました。当時のピックアップは、生音を拾うということに特化した分かりやすい
構造のピックアップでした。
モノラルとステレオというジャックが二つ用意されていて、ステレオにステレオプラグを入れて、LRに分けると135と246の弦が左右に別れるという当時としては画期的な作りをしていました。
以前のブログでも書きましたが、これ、タカミネの技術の応用みたいですね。
ただ生を拾うという単純なものですので、最近修理に出しても以外にも問題箇所が発見出来るというありがたい構造です。

その後、op24というピックアップが採用されてから、Adamasじゃないといけないという感覚が薄れてしまったように思います。というのは、Adamasと他のOvationも同じようにop24が採用され、このピックアップのサウンド特性が強く音に出るようになったように思うんですよね。
このギターのサウンドというよりも、op24の音という感じで、ギター自体の面白さが減ってしまった。

2010年には日本の代理店は中尾貿易だったのですが、ついに変わってしまいます。神田商会へ。

このあたりから、不良品が結構日本に入り、代理店の神田商会も困ってしまっているという話を聴いたことがあるんですよね。

今現在は、何と、Ovationは、カーマンコーポレーションではありません。
フェンダーに売ってしまったんですね。

それと、OvationUSAの工場は閉鎖。この時点で、Adamasは作らなくなりました。

日本にやって来るOvationは韓国製だったりします。

もはや、1966年に志をもってスタートしたOvationはその志自体が無くなってしまったと言ってもいいかも知れません。

やっぱり、安いギターを作って形だけは、あのAdamasに似ているけど、中身は全く違うと言ってもいいかと思います。

とにかく、昔の1980年から1983年までに作られた、Super Adamasを見つけたら、是非弾いてみてください。
どれだけ、今のOvationと違うかってのが分かります。


最近、Ovationの評価がユーザーからも低いと聴いたことがあります。
鳴らないよね。あんなの的な感じの評価。

ホントに当時のOvationを知っている僕らにとっては残念でならないお話です。

ここまで来ると、もう昔やってた通りのことをやってくれとは言わないけど
せめて、ちゃんとしたものを世に出して、USAの工場を復活させて欲しいと願うばかりです。

もう1980年のAdamasなんて、ネットでも数本しか出てこない貴重なギターになってきました。
僕のこのAdamasは家宝として大事にしていますが、
このギターを持っている以上は、この昔のAdamasのサウンドは伝えていかなきゃと思っています。




 
by artwing | 2016-04-26 07:14 | 雅音人の制作日記